Another World 第0話.『見捨てられた世界』  Another World。通称AW。  次元の神々が管理する数多の世界の、その中でも比較的マイナーな世界。  LWとは異次元に位置するその世界では、少なくない文明が発達していた。  住民たちは逞しく、時には争いながら、時には助け合いながら、力の均衡を保ったまま生活を続けていた。  そのAWの上空から、突如黒い影が舞い降りる。  凄まじい悪意を持ったその影は軍を成し、次々とAWを破壊していった。  失われていく秩序、大地、生命。  崩壊するAWの中枢にて、残酷なる黒い影は目的を告げる。  「我々は神の使い。この世界の価値は潰えた。全住民を抹殺し、AWを消去する」  それは無慈悲なる宣告。  神はこの世界を無価値だと判断し、切り捨てた。  故に、AWの住民はその運命を受け入れなければならない。  だが、この世界の住民は、あくまでも逞しかった。  死が運命だとしても、素直に受け入れる者は少数だったのだ。  持てる限りの力を振り絞り、逃れられぬと分かっていても、なお足掻く。  神の裁きから身を守ろう、抗おうと戦う者。  それとは逆に、崩壊への序曲に身を任せ、抗う者を嘲笑う者。  はたまた運命など考えず、自らの矜持を誇る者。  AW。  それは見捨てられた世界。  この地に最後まで立っていられる者は誰か。  そして、結末は崩壊か、生存か。