Another World @作業用BGM紹介:http://www.nicovideo.jp/watch/sm7925453 (スマブラXより ボス戦闘曲1) 第21話.『近衛兵No.8 不動の聖騎士オクトリー』  4月21日 23:27 ―――  中枢エリアの外壁内。レジスタンスの一行と、近衛兵オクトリーの対峙。  オクトリーは侵入者を順に見ながら、厳つい口元を動かす。 「……よく見れば、我が軍の人間も混じっているではないか。」  その言葉にテイクはどきりとする。  もはや、誤魔化しようがない。捕虜として連行しているキロンの事も見られてしまっただろう。  彼女の身体は布で縛り、後方で、非戦闘人員が数人がかりで抱えていただけだった。  だが次に紡がれる近衛兵オクトリーの言葉は意外なものだった。 「まぁ、構わんよ。そんなものは不問だ。  どうせいずれは根絶やしにするのだ。寝返りの1つや2つぐらい、何の問題も無い。  我が軍の戦力となるのならば喜ぶべきことだ。君達がレジスタンスであろうと……な。」  先頭のベイトが、不気味に微笑むオクトリーの表情を覗きながら、言葉を選んで訊ねる。  愛用の改造ボウガンは背に隠したまま。 「……いいのか? テメェらの部隊長の女を捕虜にしてる。普通、奪い返そうとすんじゃねぇのか?」  ベイトは顔の向きを変えないまま、気絶したまま抱えられているキロンを指した。  その側にはWarsがナイフを構えている。捕虜の命は俺たちが握っている、という意味が込められた威嚇行為だ。  ――それが意味を成すかどうかはさておいて。  勿論、ベイトは本気でキロンを傷つけることはしないつもりでいた。敵とはいえ、女性。彼のモットーは正直だった。 「もう1度言うが、我々の目的はこの世界の根絶やしだ。そんな女の命の1つ、特に興味は無い。  トリードが望むのは「勇気」と「叡智」を持つ強者……1度敗れた者の事など知ったことではない。  私は君達の選別のみ執り行う。私自らが君達の命をどうこうするつもりは無いのだよ。」  トリードの、試練。  中枢に辿り着いた者に部隊長の立場を与える、裏切り者の審判……。  ベイトは考える。オクトリーは、俺達を審判の挑戦者だと思い込んでいる……?  それを利用しない手は無い! 俺達の体力が万全ではない今、無用な戦闘は避けるべきだ。  スキを付いて、全員無事にここを脱出することができれば……。 「あぁ……選別、ね。何かすりゃいいのか。会わせてくれよ、トリードって奴に。  俺達、何としても生き延びなきゃいけねぇんだ。」 「この世界を裏切っても、か。ふむ……その覚悟が本物か見せてもらうだけだ。」  ベイトは裏切り者のフリをする。その後ろに続く全員にも緊張が走る。  オクトリーは嘗め回すように全員の顔を見て、顎に手を当てて何かを考える。  少しの間が、場を支配する……。 「ふむ、しかし人数が多すぎるな……どうしたものか。  まぁ、多すぎて困ることは無いだろう。選別の手間が省けるしな。」  オクトリーは一人で何かを納得したように頷き、声のボリュームを上げて告げた。 「では、君達の覚悟を試させてもらおう。殺し合い、首を取れ。最低1人だ。  それを成した者を、我がゴッディアの塔の中に招こう。」 「……!」  オクトリーの出題は、シンプルながらに残酷。同士討ちをしろと言っているのだ。  近衛兵自らが手を下すことはない。生きる為に犠牲を払うことになる……。 「君達の勇気は見届けよう。私は気が長い。……さぁ、誰が一番乗りかな?」  走る緊張感。大半の者が、同士討ちなど以ての外だろう。  ベイトはオクトリーに悟られぬよう、虚勢を張る。 「へっ……まぁ、見てろって。やってやるよ。」  そうしてベイトは後ろを振り向き、意識のある全員とアイコンタクトを取る。  ベイトは仲間を信じることにした。  全員が堅い絆で結ばれている訳ではない。だが、この中に裏切りを考える奴はいない筈だ……。  きっと、俺の考えてること――分かるよな。  ベイトはおもむろにボウガンを構え、特製の矢を番えた。  そして短い怒声を飛ばした後、それを足元に向け、放った!  シュゥゥゥゥゥ……!  すると、矢が地面に当たるや否や、そこから凄まじい勢いで白煙が噴き出した。  数秒も数えないうちに白煙は広がり、辺りを真っ白い霧で埋め尽くしてしまう。  ベイトが使ったのは特性の発煙弾。  場にいる全員の視界が煙で覆われ、制限される。各々が手の届く範囲すら、まともに把握できないほどに。  その煙に乗じてベイトは動く。動きながら、ポーチから次の矢を取り出す……。  煙まみれになった空間の中で、レジスタンスの各々も動き出した。  とにかくこれは唯一のチャンス。失敗したら次は無い。オクトリーに気付かれる前にこの場を切り抜けなければならない。  白煙の中、武器を取りながら、あるいは混乱しつつ、ほぼ全員が闇雲に走り出す――  Warsはベイトの意志を汲み取り、ありったけのナイフを両手に充填した。  逃げられる奴を先に逃がす。戦える奴は、敵の足止め。  煙の中を気配だけを頼りに、足音を殺して一歩一歩。  この煙を使って奇襲する。オクトリーは全身装備だ。隙を突いて確実に一撃を叩き込む必要がある。 「……リリ。どこだ、リリ。俺はここだ……。」  Warsは近くに漸の声を聞いた。リリトットと逸れたらしい。  こんな状況だ。非戦闘要員が一人逸れているのは危険だが、それを気にしていられるものか。  キィン! カァン! ドォン!  武器がぶつかり合う音と、銃声が聞こえる。  既に、奇襲は始まっている……Warsは両足で地を踏み締め、音のする方向へ向かおうとした。  ガンッ!  ――すると唐突に、後頭部に走った鈍い痛みがWarsの思考を遮断した。  何だ? 背後から攻撃が!?  ドッ!  続いてWarsの足は素早く払われる。回し蹴りのような一撃を背後から食らい、Warsの身体は半回転しながら地面に倒れた。  両手に構えたナイフは四散し地面に散らばったが、煙に溶け込み見えなくなった。  訳も分からないうちに、姿の見えない敵に襲われたWarsは、叫ぶ。 「くっそ……何だ!? 誰が襲ってきてやがるんだ!?」  膝立ちになり、周りを見回すが白煙の濃さはまだ深い。  オクトリー以外にも敵がいるのか? そいつは何処にいる?  そしてWarsは、カチャという微かな音を耳にする。  ……おそらく、Warsの落としたナイフを拾い上げた音だ。  どこだ。どこから来る。畜生……見えないなんて、卑怯じゃね……?  Warsは四方八方からの攻撃に備え、身構えた。  敵はおそらくナイフを手にした。次の一撃は鋭いに違いない。  ……。  トスッ、という小さな音がした気がした。  Warsはそれと同時に右の首筋に違和感を覚えた。……そして、その違和感は痛みに変わる。  Warsは咄嗟に上体を捻る。だが背後には誰の影も見えない。  その代わりに、首筋に確認する――注射器を。 「何だ、こりゃ……!?」  Warsは自分の首に打たれた針を抜く。それは――確かに小さな注射器だった。  その中には透明な液体が入っていて、針の先端は血で汚れていた。Wars自身の血で。  何か変な薬を打ち込まれた……!?  ドォォォン!!  その時、爆音が轟き爆風が広がった。白煙はその爆風に散らされる。  ベイトの火薬弾が炸裂した衝撃だった。  白煙が晴れた時、Warsは何よりも先に敵の姿を探した。  だが特に怪しい者は見当たらない。……見えたのは、武器を手にしたレジスタンスのメンバー達と、両手の盾で顔を覆ったオクトリー。  オクトリーと対しているのはベイト、ティア、ゴジャー、テイク。  その後ろに倒れたままのノアと、彼を懸命に治療している花連。  漸はリリトットに駆け寄り、震える彼女を励ましている。  姿の見えないピーター、ネコ(クルミ)、そしてホーエーと、ギニー。無事逃げのびた……のか?  キロンの身柄も見当たらない。おそらく、ネコ辺りが能力で運んだのだろうか。  Warsは考えたが、すぐさま頭を左右に振り、浮かび上がった考えを否定する。  ……誰だったんだ、さっきのは。  オクトリーは顔の前にかざした両手の盾を下ろす。  喜びとも怒りともつかない不気味な表情が露わになり、余裕のある低い声で喋り出した。 「なるほど……その手を取るか。見事な奇襲だったよ。……何人か、逃がしたか。まぁ、いい。  残り、8人。程好く減ったな。」  オクトリーの鎧と盾には、武器によってついた傷や銃撃の跡がいくらか残っていた。  だが盾で守られていた顔面には、一切のダメージが見られない。  オクトリーを囲むように戦っていた4人は理解する。  奇襲如きでは通用しない、近衛兵の鉄壁の防御力を。 「ちっ……その趣味の悪い鎧、メッキじゃねぇみたいだな。」 「当然のこと。これは神より与え賜うた、魔術により精製された聖騎士の鎧。  君達罪人如きに、易々と突き破る権利は与えんよ。」 「……試してやるぜ。喰らいな、鎧デブ!」  ベイトが挑発しつつ、火薬を込めたカートリッジを次々と撃ち出す。  そのどれもが無防備な顔面狙い。オクトリーは再び両手の盾を顔の前に翳す。  鎧だけでなく盾も鉄壁。何発撃ち込もうと、オクトリーには通用しなかった。  ドォン! ドォン!  虚しく爆音が響き続ける。  それに混じって、シュルシュルと鋭く風を切る音が……。 (……行けっ!)  ベイトは狙っていた。オクトリーが顔面を防御する事を。  爆音によってオクトリーの耳には届かない、風の音。  テイクの投げた十字架が、弧を描いてオクトリーの後頭部へと飛翔する!  キィィィン!  十字架が切り裂いた風はオクトリーの兜に真空波をぶつけ、まるで黒板を引っかくような嫌な音が鳴った。  オクトリーは怯み、驚いたように呟く。 「ぐっ……何だ!?」  そして彼が目の前に構えた盾を下ろすと、そこには――飛翔するティアと、ティアの持つ銃の銃口。 「よぉ。覚悟、いいか?」 「……!!」 「イけ、焦滅弾。」  ドッ、ドォォン!  ティアの放つ焦滅弾は、2度炸裂する。  オクトリーの顔面で1度。そして、その内部を抉るように2度……!  ガチャッ、と鎧が動く音が聞こえ、オクトリーは顔を仰け反らせた。  ティアは地面に着地し、銃口から立ち昇る硝煙を払った。 「……よっし。成功っ!」 「ティア殿も無茶をする……危ないところだったぞ。」 「お前のお蔭だよ、ゴジャー。いい角度にブン投げてくれたぜ。」  ティアはオクトリーの巨体に確実な一撃を与えようとした。  その為、ゴジャーの馬鹿力で自分自身の身体を放り投げ、オクトリーの顔面に真正面から弾丸を撃ち込んだのだ。 「……倒した、よな。クリーンヒットしたんだが。」  ティアを始め、場に居る全員がオクトリーを見ていた。  上半身を仰け反らせ、空を見つめたまま動かない……倒れることも無く。 「どちらにせよ、今がチャンスだな。逃げるぞ、皆!」  ベイトは逃走を促した。オクトリーが体勢を整える前に、この場を離れなくては。  どっちの方向へ逃げればどこへ行けるのかは、正直誰にも分かっていない。  だが、本能的に、オクトリーが背を向けた方向が出口だと判断できた。  動けるものから順に、天を仰ぐ巨兵の脇に向かって駆ける。  最初に駆け出し、そして最初に停止したのはテイクだった。  彼はオクトリーの真横辺りで、何の予備動作も無しに停止した。  その次に続くベイトは、そんなテイクを見ていぶかしみ、投げやりに言った。 「おい、何やってんだ。さっさと走――ぶっ!?」  間もなく、ベイトも同じように足を止めた。  テイクは何が何だか分からないと言ったように目をシロクロさせている。 「何ですか、これ……見えない壁!?」 「おいテイクよ。こりゃあ何だ、教えろ!」 「わ、分かりません! 私も、全ての近衛兵のことを知っているわけでは……。」  逃走しようとしたレジスタンスの前には、目視できない壁が立ち塞がっていた。  目の前には何も無いはずなのに、そこを通ることができない。  唯一と言っていい逃走経路を阻まれ、立ち往生を余儀なくされる……。  ベイトは自棄になり、ポーチの矢を適当に掴み、見えない壁に向かって放った。  すると矢は“そこ”を何事も無いように通り抜け、暗闇の向こうに吸い込まれていった。 「なんだこいつ、矢は通すのか……? !」  ギギギ、と不吉な音が高い位置から聞こえる。  ベイト達が立ち往生している間に、オクトリーの上半身が起き上がっていた。  オクトリーは右手の盾を地面に置き、空いた手で顔面を抑えていた。  それを見た者は、ティアの銃撃が効いているのだ……と思い込んだ。 「ああ、いいコンビネーションだ……“把握”したよ。  その一撃で私を殺せなかったのが、致命的……といったところか。」  そう言いながら、オクトリーが手を取り払う。  ――そこには、銃創どころか傷一つ無かった。 「末席ながらも近衛兵なのだ。神の加護を受けている私と、神に見放されている君達とは大きな差がある。  ……諦めたまえ。それがレベル差というものだ。」  傷の無い綺麗な丸顔に皮肉な笑いを浮かべ、オクトリーは右手の盾を再び取る。  そして、瞬き一つすると、オクトリーの真横で足止めを食らっていた者達を、吹き飛ばす。  ベイト、テイク、そしてその後ろに居たゴジャー。  それらの身体が“見えない壁”に押されたように、真後ろに後退して倒れた。 「不意を突かれたが……もう逃がさぬよ。集中すればこの程度の“壁”は作れる。  二度と、背後を取ろうなどと考えないことだ。」  オクトリーはニヤリと笑い、見下ろす。  強大な力を見せ付け、呆然としている者達を、見下ろす……。  レジスタンスは、吹き飛ばされた者の周りに他の動ける者が集まり、体勢を立て直した。 「……大丈夫か、てめぇら。」 「俺はな。……そっちの奴が、大分辛そうだぞ。」  ティアは目でWarsを指す。  Warsはいつの間にか、首元を押さえてフラついていた。……攻撃を受けた様子は無いのに。 「Wars。」 「俺のことは、いい……大丈夫、放っといてくんねぇか……。」 「……ちっ、花蓮ちゃん、頼む。」 「あっ、はいっ。」  花蓮はベイトの声でWarsの事情を察し、気絶したままのノアとWarsの様子を見比べる。  すると、Warsのほうがマズイと判断したのだろう。すぐさま救急箱を持って駆けつけた。 「……よし、俺達は、もう1回だ。」  ベイトは再びボウガンを構えた。  あの“見えない壁”が厄介だが、それを乗り越える為に足掻かなくてはならない。 「“把握”したと言っただろう? 同じやり方は通用するはずがない。  トライ&エラーをしたまえ。……これはそういうゲームなのだから。」  オクトリーは勝ち誇った顔で笑う。盾をしっかり持ったまま挑発するように手を動かした。 「ゲーム……だと?」 「そうだよ。分からんかね、ゲーム。この世界にはゲームで遊ぶ習慣が無いのか?  一手ずつ攻め、守り、駆け引きの末に勝利をもぎ取る。……命がけの遊戯だ。」 「やれやれ。命かけてまで遊んでられないね。」  ティアは挑発に乗るまいとし、手持ちの銃剣を弄る。  ……渾身の焦滅弾が通用しなかったのだ。慎重に、攻撃手段を探っていく。 「本来ならば、こちらは1人。君達の方が有利だったのだ。……最初の一手が決まらなかったのが惜しかったな。  まぁ無理も言うまい。……私は聖騎士オクトリー。攻撃よりも、守りに長けているのでね。」  シュルシュルシュル……。  オクトリーが雄弁に語る間、テイクは十字架を放っていた。  狙いは先程と同じオクトリーの後頭部。……同じような軌道を描く。だから、今度はオクトリーにも気付かれてしまったのか。 「……チャレンジ精神だけは評価するがな。」  そう言い放った後、弧を描いた十字架が、まるで強風にでも煽られたように軌道をずらし、投擲した主の足元へ戻ってきた。  テイクはそれを拾い上げ、首を振る。 「駄目です。……何か、そう、見えない何かに防がれているように……。」  オクトリーは多少退屈そうに、右手の盾を下ろす。 「さて……タイムアップだ。君達が神の洗礼を受けるつもりがないのなら、ここでお別れをしよう。」  そして盾を手放した手で、テイク、ベイト、ティアを順に指差す。 「君と、君と、君……。外に出してやろうじゃないか。君達の攻撃は効かないが、少々耳障りなのでね。」  ベイトがそれに対し何かを言い返そうとした。  しかしオクトリーが指を弾くと、指名された3人は音も無く“消滅”した。  その光景を、残された者達は見送ることしかできなかった。  少し間を置き、花蓮が口を開く。 「……『キック』……。」 「ご名答。中枢エリアのキーは我が手の中にある。……これは便利なものだ。  調べたが……この追放能力というものは、私のような異世界の者には通用しないらしいな。」  AWの住民の記録は、名簿として中枢に保管されており、それは全て管理人が管理していた。  エリアキーの効果は、その名簿に登録されている人物にしか通用しない。  つまり、異世界から襲来した人物に対しては、全く効果が及ばないのだ。 「でも、それは同時に、異世界の人物はエリアマスターになれないという制約だったはず……。  どうしてあなたが、キックを使えるんですか!?」 「簡単な事だよ。……中枢の塔を支配したのは我々だ。つまり、中枢にある名簿も我々のものになった。  設定を、少し弄らせてもらったよ。……ゲームのルールを変更したのはアンフェアだったかな?」  つまり、異世界の者はエリアキーを使える上に、キックによる追放を受けない。  ……AWの住民にとっては不利なことこの上無い。 「まぁ、それもどうでもいいことだ。君にも出てもらおう。  ……さっきから、妙な事をしているようなのでな。」 「っ!!」  花蓮はノアとWarsの容態を診ていた。ここでキックを受けてしまうわけには……。 「治療など無意味。苦痛を永らえさせる行為でしか無い。……沈黙せよ。それが幸福だ。」  オクトリーは指を鳴らす。  花蓮の体がフッと消え、寄り添っていたWarsは地べたに膝を付いた。 「安心して欲しい。私は守るのが得意だが、攻めるのは不得意だ。  だからキックをする。……最低限に減らして、確実に仕留めることにする。  生き残りたくば、意志を示すのだな。」  オクトリーは、場に残った5人に降伏を促すように喋る。  拳を握り締めるゴジャー、肩を庇い震えるリリトットとそれを守る漸。  そして、全身に苦痛が回りだしたWarsと、意識不明のノア。  目の前の壁は、あまりにも厚い。  22話へ続く